理学療法士・作業療法士は給料が安いとよく言われる職種ですが、20代ではどの程度の給料が貰えるのか気になる人もいますよね。
結論から言うと、20代の理学療法士の給料は国内平均と同程度です。
しかし、リハビリ職は昇給が少ないという特徴があり、20代の内は平均程度の給料が貰えていたとしても、30代以降からは世間一般と比べると給料がかなり安くなってくるので注意が必要です。
以下はTwitterで多くの共感が得られたツイートです。
OTとして臨床に出てから気付いたこと
・エビデンスが曖昧な治療が多い
・OTにしか専門性は理解されない
・やりがいは患者側に左右される
・他職種からはリハさんで一括り
・昇給が少ない
・経験年数で測られる
・コミュ力が何より活きる
・分野の広さが逆に専門性の分かりづらさを招いている— ひっぺー🐣OT|作業療法士@理学療法士・言語聴覚士とも繋がりたい (@hii_hira923) May 25, 2021
特にリハビリ業界は昇給が本当に少ないので、ただ単に勤続年数を重ねているだけでは給料面での苦労は避けられません。
今回は20代の理学療法士の給料と、理学療法士が20代の内にやっておくべきことについて解説していきます。
- 理学療法士の給料(年代別)
- PT・OTが20代の内にやっておくべきこと
20代の理学療法士の給料はいくら?
厚生労働省の令和2年賃金構造基本統計調査によると、理学療法士・作業療法士の平均月収は20代前半で23.5万円、20代後半で26.6万円となっています。
年齢 | PT/OTの平均月収 | 国内正社員の平均月収 |
---|---|---|
20~24歳 | 23.5万円 | 23.4万円 |
25~29歳 | 26.6万円 | 27.5万円 |
30~34歳 | 26.1万円 | 31.1万円 |
35~39歳 | 28.7万円 | 34.6万円 |
40~44歳 | 30.8万円 | 37.1万円 |
45~49歳 | 31.8万円 | 39.3万円 |
50~54歳 | 33.5万円 | 41.6万円 |
55~59歳 | 31.7万円 | 41.7万円 |
60~64歳 | 24.7万円 | 34.2万円 |
他般職も含めた日本全体の正社員・正職員の平均月収は20代前半で23.4万円、20代後半で27.5万円ですので、20代の理学療法士の給料は国内平均と同程度と言えます。
冒頭で触れたように、理学療法士は昇給が少ないという実態があるため勤続年数を重ねても給料がほとんど増えていきません。
年数が経つほどに世間一般との給料格差が広がっていきますので、注意が必要です。
特に20代後半から30代後半にかけては、日本の全体平均と比べて昇給額が雲泥の差です。
この昇給の少なさが、『理学療法士は給料が安い』と言われる理由です。
理学療法士や作業療法士の給料が安い(昇給が少ない)理由は、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。
» PT・OTの給料が安い理由
【関連記事】
» 療法士の年収は中央値を参考にするべき理由
20代の理学療法士のボーナス(賞与)はいくら?
理学療法士・作業療法士の賞与額(ボーナス額)を以下の表にまとめました。
年齢 | PT/OTの平均賞与 | 国内正社員の平均賞与 |
---|---|---|
20~24歳 | 39.4万円 | 41.5万円 |
25~29歳 | 66.3万円 | 73.1万円 |
30~34歳 | 66.0万円 | 88.1万円 |
35~39歳 | 82.5万円 | 103.2万円 |
40~44歳 | 84.3万円 | 113.9万円 |
45~49歳 | 91.1万円 | 123.7万円 |
50~54歳 | 107.6万円 | 138.1万円 |
55~59歳 | 101.2万円 | 137.6万円 |
60~64歳 | 54.0万円 | 82.2万円 |
国内正社員のボーナス平均と比べると、理学療法士や作業療法士のボーナスはかなり低いです。
理学療法士は20代後半から既に国内平均よりもボーナスが安く、30代では約20万円の差、40代以降は約30万円の差となっています。
上述した月収と同じく、理学療法士は20代の内は平均程度のボーナスが貰えますが、そこから先は世間との格差がどんどん広がっていきます。
理学療法士の給料が20代からあまり増えない理由(昇給額が少ない理由)
結論から言うと、理学療法士や作業療法士の仕事は資格さえ持っていれば誰がやっても報酬が同じであるためです。
一般的には、経験年数が長くスキルのある人の方が会社に多く利益を出せるので、その分能力やスキルに応じて昇給があるのが普通です。
しかし、理学療法士や作業療法士は個人の能力やスキルに関係なく出せる売り上げが一定です。
要は新人でも経験豊富なベテランの療法士でも、診療報酬に差がないので給料に差をつけることが難しいんですよ。
理学療法士の給料が安い(昇給が少ない)理由は以下の記事で詳しく解説しています。
給料面が不安な理学療法士が20代の内にやっておくべきこと
上述したように、理学療法士や作業療法士は経験年数が経つにつれて世間との給料格差が広がっていきます。
しかし、20代の内に将来を見据えて行動すれば、世間との給料格差を最低限抑えることができます。
理学療法士が20代のうちにやっておくべきことは以下の2つです。
- 介護保険分野への転職
- 療法士の市場価値を知っておく
それぞれ解説していきます。
介護保険分野への転職
理学療法士や作業療法士が働ける職場は、大きく医療保険分野と介護保険分野の2つに分けることができます。
理学療法士の給料面が不安なら、20代の内にデイケア・デイサービス、老健、訪問リハビリなどの介護保険分野へ転職しておいた方が良いです。
その理由は簡単で、介護保険分野の職場はリハビリ業界の中でも給料水準が高く、将来性も高いからです。
知っての通り今は国が医療費削減の方針であり、病院でのリハビリよりも在宅でのリハビリが推奨されています。
つまり必然的に、病院などの医療機関よりも介護保険分野の方が報酬単価が高くなっているため給料が高いんですよ。
もともと理学療法士や作業療法士は若手が多い業界で働く職場も病院勤務がほとんどでしたが、毎年PTOT合わせて約15000人程度も資格保持者が増えている現状から、近年は将来性もあって給料の高い介護保険分野へ転職する療法士が増えています。
数年前までは介護保険分野の療法士がまだまだ不足していましたが、現在は地域や職場によってはある程度充足してきており、転職の際に介護保険分野での実務経験が問われるところも増えてきました。
今の国の方針とリハビリ業界の現状から言って、待遇が手厚くなるのは間違いなく介護保険分野の療法士です。
病院で最低限の経験を積んだら、20代の内に早めに介護保険分野の職場へ移っておいた方が絶対に良いです。
【関連記事】
» 療法士が給料を上げる方法まとめ|将来周りと差をつけるキャリアプランを解説
療法士の市場価値を知っておく
理学療法士や作業療法士の市場価値を知っておくことは非常に重要です。
ここで言う市場価値とは、【理学療法士や作業療法士が病院や企業からどれだけ必要とされているのか】ということです。
理学療法士の中には『医療系の国家資格だから安定している』、『高齢化社会だから需要はある』などと都合の良い解釈しかしない人もいますが、市場価値を正しく知らなければ給料を上げるための対策もできません。
具体的には以下のポイントくらいは抑えておくべきです。
- 療法士はPT・OT合わせて毎年約15000人程度増えており、地域によっては飽和状態。
- 療法士は経験に関係なく診療報酬が一定であるため給料に差をつけにくい(昇給が少ない)
- 国は病院でのリハビリを減らして在宅リハビリを手厚くする方針
- 病院勤務より訪問リハビリや老健の方が給料水準が高い(職場によっては実務経験を問われるようになってきている)
- 療法士は名称独占であり専門性があまり認められていない(診療報酬の単価がさらに下がる可能性あり)
理学療法士や作業療法士は早い内から自身の市場価値を知り、20代の内に行動しておくことで将来回りと差をつけることができます。
【関連記事】
» 療法士がやめとけと言われる理由
20代の理学療法士の給料まとめ
今回は20代の理学療法士の給料と、理学療法士が20代の内にやっておくべきことについて解説しました。
20代の理学療法士の給料は?
- 理学療法士・作業療法士の平均月収は20代前半で23.5万円、20代後半で26.6万円
20代の理学療法士のボーナスは?
- 理学療法士・作業療法士の平均賞与(ボーナス)は20代前半で39.4万円、20代後半で66.3万円
理学療法士の給料が20代からあまり増えない理由(昇給額が少ない理由)は?
- 資格さえ持っていれば誰がやっても報酬が同じであるため
給料面が不安な理学療法士が20代の内にやっておくべきことは?
- 介護保険分野への転職
- 療法士の市場価値を知っておく
理学療法士や作業療法士は給料が安くて将来性もないと言われていますが、正しい知識を持って正しく行動すれば世間との給料格差を最小限に抑えていくことは可能です。
今回はこれで終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!