訪問リハビリで働く理学療法士は平均以上の年収を稼ぐ人も多いですが、その分仕事がきついと言われています。
実務経験がない人の中には訪問リハビリは「仕事がきつい」というイメージを持つ人もいるでしょう。
結論から言うと、訪問リハビリの仕事は病院での理学療法士業務とは異なる点も多いですが、ぶっちゃけ楽だと感じる場面が多くメリットも大きいです。
この記事を読むことでその理由が分かります。
今回は訪問リハビリがきついと言われている理由と訪問リハビリのメリットについて解説していきます。
訪問リハビリの仕事がきついと言われる理由
訪問リハビリの仕事がきついと言われる理由は概ね以下の4つです。
- 基本的に一人で仕事をしなければならない
- 他事業所との関わりに気を遣う
- 意欲が低い利用者への対応が難しい
- 利用者さんの家族に気を遣う
それぞれ解説していきます。
訪問リハビリは基本的に一人で仕事をしなければならない
訪問リハビリで働く理学療法士や作業療法士は、病院勤務のPT・OTとは仕事内容が大きく異なります。
以下は訪問リハビリの簡単な1日の流れです。
- 事務所に出勤し、当日のスケジュールの確認・スタッフとの打ち合わせ
- 午前、利用者さん宅への訪問
- 午後、利用者さんのサービス担当者会議に出席
- ケアマネージャーからの問い合わせに対する対応
- 利用者さんの診療情報提供書をかかりつけ医に依頼
- 夕方、事業所に戻り、書類作成・翌日以降のスケジュール調整
ここに挙げた例はほんの一部ですが、病院勤務との決定的な違いは基本的に一人きりで仕事をするということです。
訪問リハビリの最中で何かトラブルが生じた場合にも、利用者さんのお家に頼れる人は誰もいません。
周りに助けてくれる人がいないというのは最初はきついと感じることもあるかもしれません。
しかし経験者から言わせてもらえば、訪問リハビリで起こり得るトラブルなんて最低限の知識と判断力があればぶっちゃけ大した問題ではないです。
訪問リハビリの仕事は慣れれば誰でもできます。
訪問リハビリは他事業所との関わりに気を遣う
訪問リハビリでは、他事業所のケアマネージャーとの関わりが重要です。
それは、訪問リハビリの仕事を依頼してくれるのがケアマネージャーだからです。
病院ではドクターが当然のようにリハビリを依頼してくれますが、訪問リハビリでは理学療法士や作業療法士の仕事はケアマネージャーが握っていると言っても過言ではありません。
要はケアマネージャーに嫌われたら訪問リハビリは終わりなんですよ。
他事業所との関係性で訪問リハビリの売り上げも大きく変わってきます。
他事業所との関わりに気を遣うというのは、訪問リハビリがきついと言われる理由の一つです。
訪問リハビリは拒否や意欲が低い利用者への対応が難しい
理学療法士が実施する訪問リハビリでは、意欲が低くて拒否的な患者さんも珍しくありません。
病院リハビリではやる気がなくて拒否された場合でも、基本的にはノルマがあるので無理に促してでもできるだけ実施する方向にもっていきます。
それでも介入が難しい日は休みにしたり、実施困難が続けば最悪オーダー自体を取り下げてもらうことも可能です。
しかし、訪問リハビリの場合はそうはいきません。
やる気がないからといって下手に強制したりしようものなら、二度目はないかもしれません。
要は訪問リハビリを受ける利用者さんはお客様に近い存在なわけです。
そのため、意欲が低い・やる気のない利用者への対応が難しいという実態があります。
そして実際こういうケースでは、マッサージのようなリハビリを提供せざるを得ない場合も多いのです。
訪問リハビリは利用者さんの家族に気を遣う
訪問リハビリでは、リハビリ中に家族がずっと近くで見ているということがよくあります。
もちろん良い人もたくさんいますが、やっぱり中には変わった人やコミュニケーションが取りにくいような人もいます。
携帯でリハビリ風景を動画撮影する方もたまにいますね。
訪問リハビリへのクレームも、大抵の場合は利用者本人でなく家族からです。
常に誰かに見られているというのはプレッシャーを感じますし、こういったリハビリ以外の問題で頭を悩ませることがあるのは訪問リハビリのきついところと言えますね。
理学療法士が訪問リハビリで働くメリット
訪問リハビリは一人で仕事をこなす必要があって、意欲が低い利用者さんへの対応が難しいという面や家族や、ケアマネージャーとの関係性にも気を遣うという大変さがあります。
しかし、訪問リハビリは圧倒的にメリットの方が大きいです。
理学療法士が訪問リハビリで働くメリット
- 給料が高い
- 将来性がある
訪問リハビリは給料が高い
冒頭でも述べましたが、訪問リハビリで働く理学療法士や作業療法士は病院勤務の人と比べると給与水準がかなり高いです。
病院勤務の場合は年収400万円行ったら良い方で、昇給もほとんどないので生涯年収で見ると絶望的です。
それに対して、訪問リハビリで働く理学療法士は年収600万円も普通に稼げます。
訪問リハビリは国の在宅介護という方針により報酬単価が高めに設定されていることと、インセンティブ手当(出来高制)というものがあるからです。
インセンティブは訪問件数に応じて追加で手当が支給される制度です。
例えば、月に80件の訪問件数を超えると1件につき4000円支給という条件であれば以下のようになります。
- 月に100件訪問した場合:20件×4000円=80000円
- 月に120件訪問した場合:40件×4000円=160000円
病院勤務の場合は頑張っても給料は1円も変わりませんが、訪問リハでは努力が給料報酬という形で返ってきます。
病院勤務を続けていても、必ずどこかで昇給額の少なさという壁にぶち当たります。
今後、家庭を持つことや老後資金のことを考えると、早めに真っ当な給料が貰える訪問リハビリで働いた方が絶対に良いです。
訪問リハビリはまだ将来性がある
理学療法士や作業療法士は将来性がないと言われることの多い職種です。
確かに厚労省によるPT・OTの需給推計によると、理学療法士・作業療法士は2040年頃には供給数が需要数の約1.5倍になるとあります。
実際に病院の求人では新卒募集枠が少なくなってきていますし、入院患者の減少傾向も既に現実として起こっています。
ここで重要視するべきは、国が医療分野から介護分野への転換を進めているということです。
実は理学療法士や作業療法士は病院勤務が多く、地域や在宅分野ではまだまだ理学療法士が足りてないところも多いのです。
すなわち、理学療法士は医療機関に勤務するよりも介護・在宅分野で働いた方がまだ将来性があるわけです。
そういうことです。
訪問リハビリは在宅介護が推奨されている中で、地域を支える事業としても注目されています。
将来性という観点からも、訪問リハビリは圧倒的にメリットが大きいわけです。
まとめ:訪問リハビリは圧倒的にメリットが大きい
今回は訪問リハビリがきついと言われている理由と訪問リハビリのメリットについて解説しました。
訪問リハビリの仕事がきついと言われる理由は以下の4つ
- 基本的に一人で仕事をしなければならない
- 他事業所とのかかわりに気を遣う
- 意欲が低い利用者への対応が難しい
- 利用者さんの家族に気を遣う
訪問リハビリは基本的に一人で仕事をする必要がありますし、やる気のない利用者へのリハビリ提供や、利用者さんの家族やケアマネージャーとの関係性で気を遣う場面もあって、きついと言われることがあるようです。
理学療法士が訪問リハビリで働くメリット
- 給料が高い
- 将来性がある
訪問リハビリは理学療法士の職場の中でも給与水準がかなり高いのが特徴です。
年収600万円も狙える働き方なので、「真っ当な給料が貰える職場で働きたい!」という人にはおすすめできます。
また、国の介護・在宅分野を手厚くしたいという方針があるため、将来性という観点からも訪問リハビリはおすすめできます。
ぶっちゃけ理学療法士として働き続けるなら、いずれは訪問リハビリへの転職を考える時が来ると思います。
これから病院勤務の理学療法士や作業療法士の飽和化が進むと、介護分野へも療法士が流れてくることが予想されます。
将来を考えるなら早めに介護・在宅分野へ移っておいた方がいいです。
訪問リハビリは圧倒的にメリットの方が大きい職場であることは間違いないです。