PT・OTは1966年に第1回目の国家試験が実施されてから、まだ半世紀程しか経っていない歴史の浅い職種です。
それゆえに療法士は圧倒的に若い世代が多く、将来像も不確定であるため何歳まで働けるのか不安に感じる人もいると思います。
今回はPT・OTは何歳まで働けるのかと、理学療法士・作業療法士の将来性について解説していきます。
- PT/OTの将来性と不安要素について理解できる
- PT/OTとして長く働くためのポイントが分かる
理学療法士・作業療法士は何歳まで働ける?
理学療法士・作業療法士は実際のところ、何歳まで働けるのでしょうか?
結論から言うと、50代半ば頃までは働いている人が多いですが、そこから就業率は一気に落ちます。
以下のグラフを参照して下さい。
厚労省のデータによると、50代後半から就業率が一気に落ちているのが分かります。
ただし、これはあくまでも2012年~2017年のデータです。
PT・OTはまだまだ歴史の浅い職業なので今後どうなるかは断言できませんが、現状を見ると将来的な不安要素が多く、これから先は厳しくなってくることが予測されます。
理学療法士・作業療法士が長く働くに当たっての不安要素
PT・OTが今後長く働くに当たって、将来的な不安要素がいくつかあります。
PT・OTの将来的な4つの不安要素
- 若手が優遇される
- 人数が飽和している
- ほとんど昇給しない
- 体力仕事である
それぞれ解説していきます。
理学療法士・作業療法士は若手が優遇される
理学療法士・作業療法士は若手が優遇される環境です。
一言で言えば、ベテランでも若手でも稼げる単位数(診療報酬)に違いがないからです。
さらに付け加えると、現在は20代・30代の療法士が大半を占めているので【何歳まで働けるのか】を考える上で今のデータはあまり当てになりません。
今後40代・50代のPT・OTが増えてきたときに、若い人が優遇される環境というのは不安要素になります。
理学療法士・作業療法士は人数が飽和している
厚労省のデータによると、理学療法士・作業療法士の供給数は現時点で需要数を上回っています。
このデータによると、さらに2040年頃には供給数が需要数の約1.5倍になるとあります。
上述したように、PT・OTは若手療法士でもベテラン療法士でも算定できる診療報酬は同じです。
ただでさえ若手が優遇される環境で、さらに供給過多になっている状況では何歳まで働けるのか将来が不安になりますね。
理学療法士・作業療法士は昇給がほとんどない
需給的なことだけでなく、年齢が高くなるにつれ給料面でも働いていて厳しいと感じるようになります。
その理由は、理学療法士・作業療法士はほとんど昇給しない職種だからです。
独身のうちは生活していけると思いますが、結婚して家庭を持つとなると昇給がないってのは後々響いてきます。
年齢が高くなるにつれ同年代の他職種の人達と比べると、給料がとても安くなります。
理学療法士・作業療法士が何歳まで働けるかを考えたときに、こういった金銭的なことも不安要素の一つです。
PT・OTの給料については以下の記事で詳しく解説しています。
理学療法士・作業療法士は体力仕事である
理学療法士・作業療法士は体力仕事です。
勤務する職場は医療機関・介護施設など様々ですが、基本的には体を使った実務が主です。
ストレッチ・歩行介助・動作練習など、40代・50代では若い頃のように体力がついてこないかもしれません。
50代・60代になっても若い頃と同じように働けるのかというのも、将来的な不安要素です。
理学療法士・作業療法士として長く働くためのポイント
では理学療法士・作業療法士として長く働くためには、どうすればいいのでしょうか?
PT・OTとして、長く働くために抑えておきたいポイントは以下の4つです。
- 複数の分野で経験を積む
- 地域や在宅分野の需要が高まる
- 役職、管理職になる
- 病院で長く働きたいなら認定,専門療法士を取得する
理学療法士・作業療法士として長く働くためには、将来を見据えたキャリアプランが大切です。
複数の分野で経験を積む
例えば療法士歴が10年の2人がいたとします。
-
Aさん:病院勤務で10年目
-
Bさん:病院で3年、老健3年、デイケア2年、訪問リハビリ2年の経験がある10年目
転職時、どちらの方が雇用されやすいでしょうか?
上記の例なら明らかにBさんの方が、活躍できるステージが多くて選択肢が広いですよね。
要するにベテランでも稼げる診療報酬は新人と同じなので、療法士としての付加価値は今までの経験で決まります。
もちろん1つの領域で専門性を高めることも素晴らしいですが、ニッチな分野で専門知識を高めてもなかなか評価されづらいのが現状です。
複数の分野・領域を経験しておく方が理学療法士・作業療法士としてのキャリアアップにも繋がり、将来的に周りの療法士と差がつけられるところでもあります。
最終的には地域・在宅分野で働くことを視野に入れる
現時点では理学療法士・作業療法士は医療施設で働く人が6割程度ですが、この割合は将来的には変わってくるかもしれません。
今この国は医療サービスよりも介護サービスを充実させようとしています。
国の医療費削減で早期退院という方針から、地域・在宅リハビリの需要が高まってくるわけです。
国が医療より在宅での介護を推奨しているので、理学療法士・作業療法士として長く働くならこの辺りの政策についても把握しておきましょう。
そのため、在宅分野のリハビリは病院よりも診療報酬の単価が高く設定されており、一般的に訪問リハビリ等は給料の相場が高くなっています。
期限は過ぎたけどまだリハビリがしたいといったニーズもあり、最近では自費リハビリ施設なんかも出てきていますね。
役職・管理職になる
役職・管理職になれば定年まで長く働ける可能性が高いです。
管理職になれば給料も少しは上がるので、生活もある程度は安定するでしょう。
しかし、PT・OTは今現在20代・30代がほとんどであり、その全員が将来的に役職・管理職になれるかは微妙なところです。
同期や先輩が比較的少なく、将来的に自分に役職・管理職が回ってきそうな場所で働くというのも戦略の一つです。
あるいは役職・管理職を募集している非公開求人も探せばあるので、転職でキャリアアップを狙うのもおすすめです。
病院で長く働きたいなら認定・専門療法士を取得する
病院で長く働きたいなら認定・専門療法士を取得しておくのがおすすめです。
所詮は名称独占のコメディカルですから、取得したからといって診療報酬が上がるわけではないため、給料が上がることも残念ながらないでしょう。
しかし、PT・OT界隈の中では評価されるため、院内での出世レースに勝ち抜く手段にはなるかもしれません。
上述したように、役職・管理職になれば定年まで安定して働ける可能性は高まります。
病院でずっと働きたいのであれば、認定・専門療法士を取得するのはありです。
まとめ:将来を見据えたキャリアプランが大切
今回は「理学療法士・作業療法士は何歳まで働けるのか」をテーマに、PT・OTの将来性について解説しました。
PT・OTは何歳まで働ける?
- 厚労省のデータによると50代半ばから就業率は一気に落ちているが、歴史の浅い職種であるため今後どうなるかは不明。
- 現状を見ると将来的な不安要素が多い。
PT・OTの将来的な4つの不安要素
- 若手が優遇される環境
- 供給過多になっている
- 昇給額が少ない
- 体力仕事である
- 複数の分野で経験を積む
- 地域や在宅分野の需要が高まる
- 役職、管理職になる
- 病院で長く働きたいなら認定・専門療法士を取得する
社会的意義もあってやりがいのある仕事ですが、将来性があまり明るいとはいえない職種であるのもまた事実。
理学療法士・作業療法士として長く働くためには、これらのポイントを踏まえたキャリアプランが大切です。