理学療法士や作業療法士は公立病院や、県や市区町村の行政機関に勤務することで公務員として働けます。
理学療法士は下手したら定年間際になっても年収が400万円を超えない人もいるくらい給料が安い業界ですが、公務員として働いた場合は給料や待遇はどうなんでしょうか?
私自身は今も現役の療法士で臨床も急性期から維持期まで一通り経験しており、この業界のことはそれなりに詳しい方だと思います。
今回は公務員理学療法士の給料について解説していきます。
給料や将来性について悩んでいる、あるいは公務員として働きたい理学療法士や作業療法士の方はぜひ参考にしてみて下さい。
結論を先に言ってしまうと、理学療法士で公務員として働けたらぶっちゃけ勝ち組です。
※もし、アナタが給料面で将来に
不安を感じている療法士であるならば、
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公務員の理学療法士の給料はいくら?
下記の表は、総務省で公開されている平成31年度の地方公務員給与実態調査結果を基に作成しました。
公務員理学療法士の平均月額給与 |
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全地方公共団体 | 37万9876円 |
都道府県 | 39万5314円 |
市区町村 | 37万1363円 |
指定都市 | 41万122円 |
特別区 | 42万7028円 |
- この表に記載されている月額給与は諸手当込みの金額になります。
理学療法士や作業療法士として公務員で働いた場合の給料は、自治体により多少の差はありますが平均すると約39万円前後の月額給与であることが分かります。
ちなみに理学療法士や作業療法士で民間の病院勤務の場合は月額給与が25万円以下の場合がほとんどで、そこからさらに社会保険料等を引かれると民間病院に勤務するPT・OTでは手取りの給料が20万円にも満たない療法士が多いです。
こうして比較すると、公務員理学療法士の給料はかなり恵まれていますね。
ただし、上記の表に記載されている月額給与が入職してからすぐに貰えるわけではありません。むしろ初任給だけ見ると、民間の病院勤務の方が高い傾向にあります。
それでも公務員の理学療法士が人気である理由は、昇給額の差が桁違いだからです。
つまり生涯年収で見ると、公務員の理学療法士は民間病院で働く理学療法士や作業療法士よりも圧倒的に優れているんですよ。
公務員の理学療法士の給料は生涯年収で見ると高くなる
実は公務員理学療法士の給料は、民間の病院よりも初任給が低い傾向にあります。
しかし、理学療法士で公務員として働いた場合は民間病院に勤務する人と比べると昇給額が雲泥の差なんです。
例えば、民間病院であれば昇給額が3000円もあれば良い方で、周りには昇給500円っていう人も実際にいました。
それに対して、公務員の理学療法士は毎年約1万円程度は昇給で給料が増えていきます。
昇給500円はさすがに低すぎますが、民間病院に勤める理学療法士の昇給が仮に2000円だとしましょう。
5年で比較すると…
- 昇給2000円×5年=10000円
- 昇給10000円×5年=50000円
つまり公務員の理学療法士は初任給が低くても、数年経てば昇給で民間病院勤務の人よりも給料が高くなります。
これが10年後は昇給総額8万円の差、20年後だと昇給総額16万円の差です。公務員の理学療法士は勤続年数を重ねるほど給料がしっかりと増えていくわけです。
理学療法士の給料実態や給料が安い理由については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみて下さい。
公務員の理学療法士はボーナス(賞与)が良いので給料も高い
公務員の理学療法士や作業療法士の給料は月給だけでなく、ボーナス金額もその辺の理学療法士とは桁違いです。
公務員のボーナス(賞与)は【期末手当】【勤勉手当】という名前になります。この2つを合わせた金額が公務員の年ボーナス金額(賞与)となるわけです。
総務省で公開されている平成31年度の地方公務員給与実態調査結果によると、公務員理学療法士・作業療法士のボーナス額(賞与)は以下の通りです。
公務員理学療法士の年間ボーナス額(賞与) |
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---|---|
全地方公共団体 | 150万659円 |
都道府県 | 159万4039円 |
市区町村 | 144万9140円 |
指定都市 | 163万5479円 |
特別区 | 184万753円 |
公務員として勤務する理学療法士は年間のボーナス額(賞与)がざっくり150万円前後もあります。
民間病院に勤務する理学療法士の場合は年間ボーナスが70万円もあれば良い方なので、公務員理学療法士のボーナス額(賞与)がかなり高いということが分かっていただけたかと思います。
ボーナス(賞与)は生涯年収で考えたときにもかなり差が開く要因です。
一般的な理学療法士や作業療法士ではまずここまでのボーナスは生涯貰えないので、公務員理学療法士になれたら給料面でぶっちゃけ勝ち組ですよ。
公務員の理学療法士は給料以外の各種手当・福利厚生も充実
公務員の理学療法士は給料だけでなく、各種手当・福利厚生も充実しています。
公務員の理学療法士や作業療法士に関係するもので言えば、以下のような手当・福利厚生です。
- 扶養手当
- 住居手当
- 通勤手当
- 時間外勤務手当
- 昼食手当
- 退職手当
- 慶弔・災害見舞金
- 共済組合
- 育児・介護休暇
- 特別休暇
- 有給消化
民間の病院や企業ではこういった福利厚生や手当が充実していない職場も多いので、この辺は公務員の強みです。
特に住居手当や扶養手当は年間で数十万円にもなりますから、有無によって年収に大きく差が出ますね。
他にも昼食手当や共済組合の宿泊施設を割引利用できたりと、公務員理学療法士は給料以外でもお得な面がたくさんあります。
理学療法士で公務員として働くには?
理学療法士や作業療法士で公務員として働くには、各自治体が運営する公立病院に就職すれば公務員理学療法士として勤務することができます。
一般的には「市民病院」「市立病院」「都立病院」などが公立病院に該当しますので、こういった公立の病院へ就職すれば公務員理学療法士として働くことができます。
そうなんです。
さらに基本的には公務員の理学療法士は欠員が出ない限り募集が出てきませんし、募集があったとしても少人数です。
民間病院と比べると公務員の理学療法士や作業療法士はかなり待遇が良いので、応募する人も多く倍率がどうしても高くなってしまいます。
そこで私がおすすめするのが、公務員ではありませんが公務員と同等の待遇を受けることができる国立病院の理学療法士です。
以前は国立病院の理学療法士も公務員でしたが、現在は公務員ではありません。
そのため公務員試験を受ける必要はなく、病院の採用試験を受けるだけでいいんです。
ただし、国立病院も常に募集があるわけではありませんから、アンテナを張っておく必要があります。
リハビリ職専門の転職エージェントに登録しておくことで、国立病院の求人が出た際に紹介してもらうことが可能です。
国立病院の求人の他にも、公務員に引けを取らない優良求人を多く取り扱っているので登録しておいて損はないです。
まとめ:給料重視なら公務員の理学療法士はおすすめ
今回は公務員理学療法士の給料や待遇について解説しました。
公務員として働く理学療法士や作業療法士の給料は?
- 理学療法士や作業療法士として公務員で働いた場合の給料は、約39万円前後の月額給与。
- 約39万円×12ヵ月=468万円。この約468万円+ボーナス(賞与)が年収の目安。
公務員理学療法士は昇給額が高い
- 公務員の理学療法士は毎年約1万円程度は昇給で給料が増えていく。
- 民間病院は昇給額が3000円もあれば良い方。
公務員のPT・OTはボーナスが良いので年収が高い
- 公務員の理学療法士は年間のボーナス額(賞与)が150万円前後。
公務員理学療法士は福利厚生・各種手当も充実
- 特に住居手当や扶養手当は年間で数十万円にもなるので、年収に大きく影響する。
理学療法士で公務員として働くには?
- 「市民病院」「市立病院」「都立病院」などの公立病院に就職すれば公務員理学療法士として働けるが、公務員試験を受ける必要がある上に募集が少なく倍率も高い。
- 公務員と同等の待遇を受けることができ、尚且つ公務員試験を受けなくても就職できる国立病院がおすすめ
理学療法士や作業療法士として働く上で、給料や待遇を重視するなら公務員はかなりおすすめです。
ただし、上述したように募集が少なく倍率も高いのでハードルも高めです。
個人的には、公務員ではないが公務員と同等の待遇を受けることができる国立病院への就職がおすすめです。
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