表にはなかなか出てこない、実際に現場で働いている療法士だからこそ分かる仕事の本音が知りたい…
今回はそのような方向けに、理学療法士・作業療法士のリアルな部分をお伝えしつつ、仕事の本音を語っていきたいと思います。
- 経験年数7年目の現役療法士
- 転職で年収350万→年収550万
- 世帯年収1000万円越え
- 副業月収7万円越え
- 臨床実習指導者講習修了
- 急性期~維持期まで全ての臨床現場を経験済み
Twitter:@リハネコ
それでは理学療法士・作業療法士の本音を【メリット】と【デメリット】に分けて解説していきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
- 療法士の仕事の本音が知りたい人
- リハビリ業界の裏側を知りたい人
» 年収700万円以上の特殊な案件もあり|理学療法士で高年収を実現したい方へ
理学療法士・作業療法士の仕事の本音(メリット)
まずは理学療法士・作業療法士のメリットについて仕事の本音を語っていきます。
療法士として働いていて良かったなと思うことは以下の5つです。
- 就職・転職がしやすい
- 平日に休める
- 若い世代が多い
- 出会いが多い
それぞれ解説していきます。
就職・転職がしやすい
「もう療法士は飽和してる」、「供給過多になっている」とは言われていますが、本音を語ると理学療法士・作業療法士はまだまだ就職・転職が簡単にできます。
一般のサラリーマンとは違って医療系はほとんどが採用前提の面接ですから、はっきり言ってぬるいです。
確かに、PT・OTは毎年約15000人ほどの資格保持者が増えており、将来性は厳しいというのも事実です。
厚労省の需給推計データでも、現時点で既に供給数が需要数を上回っており、2040年頃には供給数が需要数の約1.5倍になるとあります。
しかし、病院での医療より地域・在宅分野を手厚くしたいという国の考えがある一方で、介護施設や在宅分野ではまだまだ療法士が足りていないところも多いんですよ。
療法士の分布にも地域差がありますし、就職や転職はまだまだ簡単にできる職種です。
しかし給料の相場はどんどん安くなっていて、理学療法士や作業療法士は業界全体で見ると「将来性がオワコンだ!」っていうのも間違いではありません。
介護職のように、『需要はあるのに待遇がめちゃくちゃ悪い』みたいな仕事になっていってるなってのが本音です。
この辺の将来性の話については、「PT・OTは何歳まで働けるのか?」という記事で解説していますので、興味がある方は合わせてご覧下さい。
まぁ待遇が悪いからといって、これからの高齢化社会で理学療法士や作業療法士の需要がすぐになくなるということはないと思いますよ。
一定の需要が常にあって、就職・転職が簡単にできるというのはPT・OTのメリットです。
普通に求人を見てもらえば分かるのですが、職場はまだまだ選べますよ。
まぁ実際この業界に勤めていて、PT・OTで就職難民にはならないだろうというのが本音です。
もちろん昔と比べると資格保持者が増えましたが、基本的に医療業界はどこも人手不足ですからね。
逆に、「持ってるだけで一生安泰!」みたいな資格の方が限られていますし、療法士は就職・転職に関しては確実に恵まれている方だと思います。
そして就職・転職しやすいということは、主に2つの大きなメリットがあります。
- ライフスタイルの変化に対応できる
- 職場に依存しなくてもいい
特に結婚や出産・育児、引っ越し等のライフスタイルの変化に対応しやすいというのはかなりメリットだと感じます。
実際に私の妻も療法士として出産を機に転職しましたが、条件に合ったところを難なく選べましたし、やはりリハビリ職は採用前提の求人も多いので転職活動は楽でした。
【PT・OT向け|家庭と両立できるおすすめの働き方】という記事でも解説していますが、特に家庭と両立したい女性にとっては理学療法士・作業療法士という仕事は働きやすい資格だと思います。
また場合によっては、就職したものの人間関係が最悪だったり、雰囲気や業務内容が自分に合わないなどといった理由ですぐに辞めたいと思うこともあると思います。
- 「辞めたいけど生活がかかっているから辞められない」
- 「辞めたいけど良い転職先が見つかるか不安」
このように辞めるに辞められない状況に追い込まれることもあるかもしれませんが、理学療法士や作業療法士は一つの職場に依存する必要がありません。
このメリットがあるおかげで、PT・OTは転職する人がいくらでもいる業界です。
供給過多と言われているけど、一定数の需要が常にある理学療法士・作業療法士はまだまだ就職・転職には強いっていうのが正直な本音です。
以下の記事でPT・OTの各職場の特徴について解説しています。興味がある方は合わせてご覧下さい。
» PT・OTで理想の職場を見つける方法【条件別におすすめの職場も解説】
休みに融通が利く
職場にもよりますが、理学療法士・作業療法士は基本的にシフト制で休みを取っていく職場が多く、休みに融通が利きます。
実際に私も土日や祝日の繁忙期を避けて旅行に行ったりしていましたし、休みに融通が利くというのは大きいメリットだと感じています。
病院等では土日祝でも入院患者にリハビリを実施しているところがほとんどなのでシフト制の職場が多いですが、逆に訪問看護ステーションなどの職場であれば土日祝休みのところが割と多いです。
ここで、上記で解説した就職・転職が簡単にできるというメリットが活きてくるんですよね。
例えば私の実例ですと、独身時代は自由に休みを組めるシフト制がよかったのですが、結婚してからは子供のイベントなどもありカレンダー通りの休みがよかったので、訪問看護ステーションに転職しました。
このように、自分のライフスタイルに合わせて職場を選ぶことが可能なので、休日に関しては割と融通の利く仕事だと思います。
しかし、中には休日数がブラックな職場もありますので、そこは注意が必要です。
まぁ休日に関して本音を語ると、職場によって休日の取り方や年間休日数が全然違うので、休みに関しては職場を決める際にかなり重要視した方がいいですね。
PT・OTの休日数に関しては以下の記事でも解説していますので、興味がある方は参考にしてみて下さい。
» PT・OTで年間休日数を勝ち取るには?
若い世代が多い
実はリハビリの歴史ってまだまだ浅くて、1966年に理学療法士・作業療法士の国家試験が始まってからまだ50数年、僅か半世紀程しか経っていません。
そのため理学療法士・作業療法士は20代~30代が8割程を占める業界で、これもある意味メリットだと思います。
年功序列で若い年代のうちに役職・管理職となることもありますし、若い世代が多いので職場内でのイベントや勉強会など、全体的に活気がある業界というのも人によってはメリットではないでしょうか。
もちろん病院などであれば男女の出会いも多いですし、気の合う友人にも巡り合えます。
例えば私の経験談ですと、新卒で割と規模の大きい総合病院へ就職したのですが、そこで出会った人達は一生ものです。
リハビリ職の友人だけでなく、看護師や事務員、患者に至るまでたくさんの出会いがありました。
今でもプライベートで繋がっている友達もいますし、今一緒に事業を行っている仲間もそこで出会った友人です。
このように、若い世代が中心の業界というのはやっぱり色々刺激も受けるし、仕事も充実していて楽しいことも多かったっていうのが実際に働いてて思った仕事の本音です。
「PT・OTで理想の職場を見つける方法【条件別におすすめの職場を解説!】」という記事で、PT・OTの各職場の特徴について解説しています。興味がある方は合わせてご覧下さい。
出会いが多い
現役療法士である私から本音を語ると、ぶっちゃけ医療職ってめちゃくちゃ出会いが多いです。
近年、男だけ・女だけの閉鎖空間のような職場もある中、リハビリ職は男女比率のバランスが良く、恋愛も多いため結婚率も高めです。
「結婚なんか興味ない!一生一人で生きていくんだ!」
中にはこういった変わり者もいるかもしれませんが、ほとんどの人にとって恋愛や結婚っていうのは人生の重要な要素の一つであるはずです。
特に病院であればリハビリ職に限らず他職種との交流も頻繁にありますし、仕事中以外であっても飲み会や社員旅行など、いくらでも出会いの場はあります。
実際に私の周りでも、PT・OTはほとんどが20代のうちに結婚していますね。
もちろん相手は同じ医療職が圧倒的に多いです。(ちなみに私の妻も作業療法士です。)
上記でも述べましたが、業界によっては男だけ・女だけの閉鎖空間のような職場も割と多いです。
それに対して療法士業界は男女の出会いが圧倒的に多く、色恋沙汰は尽きません。
ただ、結婚後に苦労する人が多いのが難点でもあります。
詳しくは以下の記事で解説していますので、興味のある方は合わせてご覧下さい。
» PT・OTは結婚後に苦労しやすい!?【PT・OTの結婚生活について解説】
また、恋愛に限らず理学療法士・作業療法士は仕事の性質上、様々な人との関わりがあります。
中には、この仕事してなかったら一生関わる機会がなかっただろうなっていう人も多いです。
『多種多様な人と関われる』っていうのも、療法士として働いていて良かったなと思う本音の一つです。
理学療法士・作業療法士の仕事の本音(デメリット)
続いて理学療法士・作業療法士という仕事のデメリットについて本音を語っていきます。
療法士として働いていて「これはキツい」「嫌だな」と思ったことは以下の4つです。
- 給料が安すぎる
- 名称独占で専門性が乏しい
- 将来性が不安
- 拒否や必要性の薄いリハビリでも実施する
それぞれ解説していきます。
給料が安すぎる
「理学療法士・作業療法士として働いていて一番キツいと思うことは?」って聞かれたら、ほとんどのPT・OTが「給料安すぎ!」って答えるんじゃないでしょうか。
理学療法士・作業療法士って世間的にはあまり認知されていませんが、給料に関してはかなり絶望的です。
一応、初任給は他の職種と比べると少し高い方で、新卒のうちから手取り18万~高ければ20万円くらいは貰えます。
しかし、問題は昇給が全然ないってことです。
昇給がほとんどないので勤続年数を重ねても給料がほとんど上がりません。
中には、定年間際になっても年収が400万円前後しかない人もいるという給料の安さです。
実際に私の周りでは、昇給が500円とか1000円って人もいました。
例えば昇給が1000円だと、10年勤めたとしても給料が1万円しか上がりませんよね?
理学療法士・作業療法士の給料に関しては【PT・OTの給料が安い理由と給料を上げる方法】という記事で詳しく解説していますので、興味がある方は合わせてご参照下さい。
独身で実家暮らしの間はいいですが、今後、結婚して家庭を持ったり老後のことを考えると金銭面での苦労は尽きないと思いますよ。
「ぶっちゃけ理学療法士・作業療法士の一番のデメリットって何?」って聞かれたら、「給料の安さ」というのが本音の回答になります。
「PT・OTの給料についてもっと知りたい!」という方は以下の記事も合わせてご参照下さい。
» 20代のPT・OTの給料はいくら?|給料面が不安な療法士が20代の内にやっておくべきこと
リハビリ職の方限定でTwitterを使って稼ぐ方法も伝授しています。詳しくは以下の記事をご参照下さい。
» Twitterで月10万円稼いだ具体的な方法を伝授します
名称独占で専門性が乏しい
理学療法士や作業療法士は一応専門職という位置づけですが、『実際は専門性が乏しい仕事』というのが本音です。
国家資格は以下の3種類に分類されます。
- 名称独占の資格
- 業務独占の資格
- 必置資格
この中で、実は理学療法士・作業療法士などのリハビリ職は名称独占に当たります。
名称独占とは、その資格を持っていれば名乗ることができるという、ただそれだけのものなんですよね。
つまり言ってしまえば、リハビリ自体は誰がやってもいいということなんですよ。
業務独占は医者や看護師などの資格です。
当然ですが点滴や採血、オペなんかは何の資格も持たない素人がやってはいけません。
業務独占とはその資格保持者にしかできない専門業務があるということです。
つまり逆に言うと、名称独占である理学療法士や作業療法士は国から専門業務とはみなされていないんです。
もっと言うと、誰にでもできる専門性が薄い仕事と思われているからこそ、名称独占に留まっているわけです。
実際のところ療法士の仕事は専門性が分かりづらく、言い方悪いですがマッサージとの違いすら怪しい部分もあります。
実際、他の医療職からも「リハさん」と一括りにされますし、専門性はなかなか理解されないなってのが本音です。
理学療法士や作業療法士には開業権もありませんし、この専門性の評価がいまいちということは給料が上がらない要因の一つにもなっています。
» PT・OTの給料が安い理由|名称独占資格で専門性がいまいち
将来性が不安
上記で、「PT・OTはまだまだ就職難民にはならないというのが本音」と伝えました。
しかし将来性について考えた時、不安要素はしっかりあります。
PT・OTの将来的な不安要素は主に以下の4つです。
- 若手が優遇される環境
- 昇給がほとんどない
- 需給バランスの崩れ
- 医療費削減という国の方針
まず仕事の特性上、理学療法士・作業療法士はどうしても若手が優遇される環境です。
経営上の話になるんですが、PT・OTはリハビリを実施した時間で報酬が決まるので、新人療法士でもベテラン療法士でも稼げる売り上げ(単位数)に差がないんですよ。
雇用側からすると、若手でもベテランでももたらす利益が同じなら当然将来性のある若い人を採用しますよね。
さらに、上記でも解説しましたが昇給がほとんどない業界なので、将来的に給料面で厳しくなるのは必然です。
また、規制緩和で学校が乱立したことにより、療法士の人数が増えすぎたというのも不安要素の一つですね。
他にも、医療分野で活躍する理学療法士・作業療法士にとって国の医療費削減という方針はマイナスに影響します。
これらの現状を鑑みると、他の仕事に比べて就職・転職がしやすいとはいえ、将来性があまり明るいとは言えないってのが本音です。
理学療法士や作業療法士の将来性については以下の記事で詳しく解説していますので、興味がある方は合わせてご覧ください。
» PT・OTは何歳まで働けるのか?【療法士の将来性について解説】
拒否や必要性の薄いリハビリでも実施する
理学療法士や作業療法士は病気やケガをした人の在宅復帰や社会復帰を支援する、社会的にも意義があってやりがいのある仕事と言われています。
しかし本音を語らせてもらうと、実際の臨床現場では「この人リハビリする意味ある?」っていうような人も多いです。
例えば…
- 『あの先生は全然揉んでくれない』等、療法士をマッサージ屋さんくらいにしか思ってない人。
- リハビリで運動機能が上がり動けるようになったことで、「前より目が離せなくなった」と家族からクレーム。
- 暴言や暴力、セクハラなどの問題行動でリハビリの実施が困難なケース。
- 患者は拒否しているが、家族からは何とかやってくれと言われるケース。
こういう現場の裏部分は、臨床に出てしばらく働いてから気付いていきます。
「人の役に立ちたい」
そう思って療法士を志し、期待に胸を膨らませて入職してきた子がPT・OTの現実の部分を知って辞めていったのも見てきました。
» PT・OTの仕事がつまらない5つの理由
» PT・OTはやめとけと言われる5つの理由
これらを通して本音を語ると、こういった療法士のマイナスな部分も理解して、ある程度割り切って仕事できる人の方が向いているなと思います。
現役療法士の仕事の本音(総括)
ここからは理学療法士・作業療法士という仕事に対する本音を、実際に現場で働いてきた私の経験から総括的に語っていきたいと思います。
結論から言うと、理学療法士・作業療法士は就職や転職が簡単で安定して働けるというのが一番のメリットだとは思いますが、やっぱり給料が安すぎるなっていうのが本音です。
確かに医療系の国家資格ということで、職場は割と自由に選べます。
そのため一つの職場に依存する必要がないし、ブランクが空いても仕事復帰しやすい。
これらは確実にメリットと言えるでしょう。
しかしそんな仕事でも、給料が安すぎるっていうのがやっぱり致命的ですね。
誰がやっても内容や結果にかかわらず報酬が一律…
新人とベテランで給料に差をつけることが難しいため、昇給が絶望的な業界…
これではモチベーションが保てませんし、やりがい搾取になってるなってのが本音です。
それに
「自分の生活がある程度潤ってないと、患者さんや利用者さんに心の底から寄り添うことも難しいのではないか?」
私はそう感じます。
私の経験談にはなりますが、私は新卒で割と規模の大きい総合病院へ就職しました。
あの頃は目の前の患者に少しでも良いリハビリが提供できるように、日々自分の知識・技術を磨くために努力していたんですが、誰がやっても報酬が同じリハビリ業界に徐々に疑問を持つようになったんです。
そして、磨いたスキルも結局は病院側から何の評価もされない…
私が今までしてきた自己研磨は、自己満足で終わる悲しい努力であると気付きました。
さらに結婚して子どもが生まれ、「このままではダメだ…」
そう思って、努力の方向性を180度変えたのです。
具体的に言うと、今まで自己研磨に充てていた時間とエネルギーを副業に全て注ぎ込みました。
そこからは割と楽しかったですね。
そして現在は年収500万円までアップし、さらに一番大きかったのが副業を頑張ったおかげで月5万円の不労所得が入ってくるようになったことです。
私の年収アップについては【手取り19万の療法士が2週間で月給30万円を達成した方法】という記事で詳しく解説していますので、興味がある方は合わせてご覧下さい。
療法士の副業については、【PT・OTにおすすめの副業5選】という記事で解説しています。
理学療法士・作業療法士の仕事の本音まとめ
今回は理学療法士・作業療法士の本音をメリットとデメリットに分けてそれぞれ解説しました。
PT・OTの仕事の本音(メリット)は以下の5つです。
- 就職・転職しやすい
- 平日に休める
- 若い世代が多い
- 出会いが多い
PT・OTの仕事の本音(デメリット)は以下の4つです。
- 給料が安すぎる
- 名称独占で専門性が乏しい
- 将来性が不安
- 拒否や必要性の薄いリハビリでも実施する
理学療法士や作業療法士は、ぶっちゃけメリットよりもデメリットが目立つ仕事だと思います。
『安定して働ける』、『休みに融通が利く』、『若手が多い業界で出会いも多い』などといったメリットはありますが、『給料が安い』、『専門性が乏しい』といったデメリットがあまりにも大きいです。
今回は現役療法士の私が理学療法士・作業療法士のリアルな実態や仕事に対する本音を、上辺の内容だけでなく赤裸々に語ってみました。参考になれば幸いです。
今回はこれで終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!